June 02, 2005

存在の証明

偶然、とあるブログを見つけた。

末期がんを告知された20代男性のブログで
ご本人は、既に他界されているらしかった。

最後のエントリーは、あらかじめ準備されていたものを
四十九日を機に友人の方がアップしたものだった。

なんとなく複雑な思いを感じながら
ここにも1つの人生を綴った人がいるのだ、と
100件単位で寄せられたコメント欄を見ていたら
「ネタだろう?」
という指摘が延々と続いているのに気がついた。

書かれている内容の整合性や
病気に臨む人間としてのリアリティが無い、というのだ。

そのブログが真実だろうとなかろうと
私には関係ない。

ただもしも、もしも真実なのだとしたら
少なくとも、そこに関わっている「友人」にとって
確かに存在した「彼」の存在を疑われ、否定されることほど
辛いことはないだろうな、と思った。

コメントの中には、その「友人」に、
これが真実だという証拠を見せろ、と
つきつけているものもあった。

でもさ。
ネットという世界で、
そこに書かれていることが虚構ではなく真実だと証明することは
言うほどたやすいことではない。

第一、自分の目の前にいた確かな存在を
なぜ、見ず知らずの人間に弁明しなければいけない?

つくづく。

あの日、寄せられたメッセージのひとつひとつを思う。

同じことが私に起こっていたら
私はきっと壊れてしまっていたに違いない。

「失った」ことだけでも辛いのに
その「失ったもの」を信じてもらえないなんて
そんなの、あんまりだ。

(いぬかい)

投稿者 collabo : June 2, 2005 08:41 PM
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